EMAN白書2006

2006年12月28日付けの日記だと思って欲しい。


 年の終わりでちょうど良い時期だから、 ちょっと現状のまとめ的なことをここに書いておこうと思う。

 数は分からないのだが、 私のサイトを量子力学のページまでちゃんと理解している高校生がいる。  いるだけじゃなく、確実に増えている。  このサイトを立ち上げた頃には若者の学力低下を とても心配していたのだが、今は全く心配していない。

 それどころか自分の世代が無用になってしまうかも知れないという脅威さえ感じている。  我々の世代というのは、大人たちのすることを何でも馬鹿にするようにと洗脳されてきた。  「何もできない大人たち」のことが歌の歌詞になり、 「自分たちにはできる」「自分たちは本当の事を知っている」「若さは力だ」と 根拠のない刷り込みがされてきた。

 しかし今、ネットによって嘘が暴かれ、目隠しが外され、 本当に馬鹿な大人たちと、 そうではない大人たちの闘いの勢力地図が見えるようになってきている。  かつて若者であった我々は彼らにとっての扱い易い駒に過ぎなかったことも。

 話をこのサイトのことに戻そう。  このサイトの目的はまた一つ、順調に達成されようとしている。  それは何のことだろうか。

 冒頭の「あいさつ」のところには、 「日本からももっとノーベル賞を」と書いてはみた。  しかしそのすぐ後で日本人のノーベル賞の受賞が相次いだこともあり、 もうどうでもいいと思っている。  「あの人が貰えるなら、あの人だって」なんていう、 何百人もの行列待ちの出来ている賞は面白くも何ともない。

 いっそのこと、現時点で行列に並んでいる全ての人に、 低額の賞金とメダルをばら撒いて、 「もうあげないから待っても無駄です」宣言をし、 今後は「該当者なし」なんて年もあるなど、 基準を厳しくした方が権威が上がっていいのではあるまいか。  まぁ、この賞はノーベル氏の遺言に従って行われているものだから、 勝手に方針を変更するわけにも行かないのだろう。

 また話が逸れてしまった。  とにかくノーベル賞は目的とは思ってないということだ。

 若者たちはネットで横のつながりが出来た分、 できるやつ同士で互いに情報交換し、勉強熱心になった。  互いの名前や素性を分かった上で励まし合っているわけではないが、 自分より遥かに上がいることを常に感じ、 ちょっとのことを学んだだけで慢心するということがなくなった。

 数年前には「マクスウェル方程式が分かる高校生」なんてのが テレビで取り上げられて、すごいと言われたりしたわけだが、 今にごく当たり前のこととなるだろう。  それを加速してやることも私の目的の一つだ。

 このサイトには幾つかの隠れた目的があるとは昔から言ってきた事だが、 別に政治的なものを隠しているわけではない。  公言しているように、メインの目的は常に変わらず、自分の勉強のためである。

 ただこの活動を続ける過程で当然周囲に影響を及ぼすし、 それによる結果はある程度予測することができる。  それを自分の達成度の指標の一つとして利用してみたり、 ついでだから、予測を早期に実現すべく、 力をわざとそちらへ傾けてみたりして遊んでいるわけだ。

 例えば、今はそれほど意識していないが、 こんな目標に向かっていた時期がある。

  • トンデモさんやオカルト嗜好の人の興味をここに惹き付け、 彼らの空回りの努力を有意義な方向へ向けてもらう。
  • トンデモサイトに書かれている誤りが誰にでも判断できるような 分かりやすい資料を提示して、彼らの自然消滅を誘う。

 古くからここを見に来て下さっている読者には 懐かしく思い当たる節があるだろう。  私はネットを徘徊して、間違った議論、間違った説明を見つけると、 さり気なくそれをネタに記事を書いて発表するわけだ。  このようにして、今まで多くのサイトの死を看取ってきた。  ああ、何たる悪趣味!

 他にも Google 上位を目指したり、 有名サイトからリンクされることを目指したりした時期もある。

 ある程度の成果が見られた後で、 私は無駄な方向へ力を使うことを控えめにして、 本来の目的に近い方向へと路線を変える。  このサイトは過去に何度か、読者にも感じられるほどの急な進路変更を経験してきた。

 今年に入ってからも、何か少し変わってきたのを感じている人もいるだろう。  それは、

  • このサイトが必要でなくなるくらい、 物理の分かり易い情報があちこちで見られるようにする。

という、自殺的な目標(予測)が現実のものとなってきたのを私が目撃するようになったからである。  いずれ「物理の有名サイト」なんてのが必要なくなり、英雄たちは消え、 代わりに名前も分からぬ誰かが断片的に書き残した情報があちこちに増え、 人々はむしろそういうものを探して価値ある情報を得るようになる。

 私はこれが実現する日を怖れながらもずっと心待ちにしてきた。  まだ私が思い描いた姿とは少し違うが、近付いてきた。

 だからと言って私はこのサイトがこのまま埋もれるに任せるつもりはなく、 かと言ってこの動きに抵抗するつもりもなく、 この流れを利用してその次の姿につなげることを目指す。

 今はどんな事を目印にしながら航海を続けているか。  向かう先に何を見ているのか。  それはまだ言えない。  王様気取りで世の中を操っているつもりになって 悪趣味なことを続けているのである。

 出版準備をしている次の本が出れば、私が何をしようとしているか見えて来るだろうし、 私が割と長期ビジョンで行動していることが分かってもらえるだろう。  この国で物理を「熱的死」させるわけには行かないのだ。

 なおこの文章は寝不足続きの変なテンションの影響下で出来上がった。


戻る