G って何ですか?

読者からの質問に答えたものです。(許可を得て掲載)

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質問

 よく 1 G とか言いますよね。すごい G がかかるとか、なんとなくわかりますが、あまりよくわかりません。それと、これには加速度という名前がついていますよね。加速度って 1 秒あたりの速度ですよね。普段使っている G がかかるというのとつながらないのですが、一体どういうことですか?


答え

 加速度というのは 1 秒間にどれだけ速度が増すかという数字です。地球上での重力加速度は\( 9.8 \mathrm{m/s^2} \)ですので、もしビルから飛び降りれば、1 秒後には\( 9.8 \mathrm{m/s} \)の速度になっています。2 秒後には倍の\( 19.6 \mathrm{m/s} \)の速度になります。

 G というのは地球上での加速度を元に決めた加速度の呼び方であって、普段、感じていないかも知れませんが、地球上で私たちが受けている重力は 1 G です。

 これでは分かりにくいので、G を感じない体験をしてみましょう。それによって G を感じるとはどういうことか分かるかもしれません。一緒にビルの屋上へ行きましょう。私は大きな箱を用意してあなたを待っています。私はあなたを騙して箱に入れたあと、入り口を閉めて、箱ごと屋上から突き落とします。

 すると、箱もあなたの体も同じ速度で落ちるので、あなたは自分がどこへ進んでいるか、箱の中では判断できなくなります。体が箱の中で浮いているかのような状態になることでしょう。これが重力を感じない状態。0 G です。多分、お腹がむずむずするでしょう。これはあなたの胃や腸も同じ速度で落ちるので、体の中で内蔵が浮き上がっているために受ける感覚です。

 宇宙で生活する宇宙飛行士は、この、ジェットコースターに乗ったときに瞬間的に感じる内蔵がひっくり返るような感覚を常に感じることになるのです。これが宇宙酔い。慣れるのに訓練が必要なわけです。その点、地球では重力がありますので、胃や腸はちゃんとした位置に収まっています。ありがたいものです。

 では、すごい G がかかる、というのはどういうことかと言えば、車に乗って加速してやれば感じることが出来ます。地球の重力と同じ、1 秒間に\( 9.8 \mathrm{m/s} \)ずつ速度が増えるような飛ばし方をすれば、あなたの体は地球の上で寝そべっている時と同じ力でシートに押し付けられます。しかし、これは相当な加速なのでちょっと実験は無理でしょう。やめて下さい。

 これは、車だけが加速して、体は一緒に加速しないので体がシートに押し付けられて無理やり加速させられることで感じる力です。屋上から箱詰めで落とされた時には、箱と一緒に体も重力で加速されていたので G を感じなかったのです。

 G を倍にしたければ、乗り物を別の物に替えればよろしい。加速を\( 19.6 \mathrm{m/s} \)にすれば、つまり、1 秒ごとに速度が\( 19.6 \mathrm{m/s} \)ずつ増えるような乗り物に乗れば、2 倍の力を感じます。これは自分の体重が 2 倍になったかのような感覚でシートに押し付けられます。

 分かってきましたか?いま、私たちは 1 G の加速をする乗り物に乗ったときにシートに押し付けられるのと同じ力で地球に押し付けられているわけです。

 戦闘機などは 3 G くらいは平気で出せます。パイロットの訓練生が初めて教官と一緒に戦闘機に乗せられると3 G くらいで気絶するそうです。

 アポロ時代の宇宙ロケットは打ち上げ時に 6 G くらい。自分の体重が 6 倍になったかのような力に耐えなければいけません。相撲の力士に押さえ込みされたような感覚でしょう。これでは体が動かせませんので緊急脱出用のスイッチは、目を左右に 3 回くらい動かすことによって起動する仕組みになっていたようです。(この「目で操作する脱出装置」の話は昔の子供向け科学読み物にはよく書いてあったのですが、今調べてみても正確な資料を見つけることが出来ないので、ちょっと怪しい話なのではないかと考えています。)