電磁気学のまとめ

それで結局電場や磁場は何なのか。

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 力学のページでは、「ポテンシャルエネルギーは実在ではない」という主張をした。そして「この世界に真に存在するものは運動量だけなのではないか」という大胆な予想も口にした。しかしこれらの主張には一点だけ陰りがあった。

 それは、「ローレンツ力の場合、ポテンシャルがお互いの速度にもよる」という事実を考慮に入れていなかったことである。この点については力学のまとめの中でも触れているのだが、何とか解決できるだろう、と非常に楽観的に考えていたのだった。

 さて、電磁気学をざっと学んだ結果はどうだっただろうか。確かにローレンツ力を考慮に取り入れた場合でも運動量は保存していたのだった。しかし電荷を持った粒子の存在だけを考えていたのではダメで、電磁場さえも運動量を持つ存在だと考えなくてはならないのだった。電荷の動きによって電磁場に波が生じ、その波は運動量とエネルギーを運ぶ。こんなことは力学の範囲内では考えもつかなかった。

 電場や磁場という存在が運動量と直接的に関わってきてしまった。運動量こそが真に実在するのではないかという予想に影響があるだろうか。これはむしろ好都合かも知れない。電磁場の正体を運動量によって説明できる可能性がある。

 それで、電場や磁場というのは一体何なのだろう、と真剣に考え始める。それらは別々に存在するものではなく、「電磁ポテンシャル」\( \Vec{A} \)という 4 成分の量を仮定すればそこから導き出せるのだった。それで、電磁ポテンシャルこそ、私が捜し求める「実在」に近いものかも知れないという考えに傾いてくる。

 ところで、静電ポテンシャルというのは電磁ポテンシャルの一成分として取り込まれてしまったわけだが、それに電荷を掛けたものは力学で考えていた「ポテンシャルエネルギー」と同じ存在である。電磁気学においてはそれは 4 成分となり、力学のページでは考えもしなかった、電荷が運動する場合についても拡張されることになったのである。

 つまり、電磁ポテンシャルは実在かも知れない、と考える事は、「ポテンシャルエネルギーは実在ではない」というかつての主張に対する不安を表明しているのと同じことではないだろうか。足元がぐらついているのに気付き始める。何度でも考え直そう。間違っていたら直していけばいいのだ。

 全てを運動量に帰そうという考えの方はまだ有望だろうか。私は「実在」が二つ以上あることを望まない。実在らしきものが二つあるとき、どちらかがどちらかを生み出してあたかも「在る」ように見せかけているか、あるいは一つの事実についての見方が違うだけで、どちらも対等であるというような関係であってほしいと思う。

 この世に運動量だけが「在って」その交換のルールがあたかもこの世に電磁ポテンシャルというものがあるように見せかけているのか。それとも電磁ポテンシャルだけが「在って」それが電場や磁場だけでなく、電荷や運動量といったものまで存在するかのように見せかけているのだろうか。どちらの可能性もありそうに思える。

 電場や磁場は電荷を持った粒子間に働く力を通して存在が確認できるものらしい。力とは運動量の変化によって「在る」と錯覚できるものなのだった。すると電場や磁場とは、運動量を交換するような働きを持った特別な性質の場所だと言えないだろうか。

 聞きかじった話では、電磁波は粒子の性質も持っていて、光の粒を「光子」と呼ぶらしい。量子電磁気学という分野では電磁気に関わる力が、光子の交換によって説明できるのだと聞く。光子が運動量を運ぶのだそうだ。また電荷の周囲には「仮想光子」と呼ばれるものがまとわりついていて短時間だけ現れたり吸収されたりを繰り返しているらしい。初心者向けの解説書というのはどうも言っている事が良く分からない。

 思い違いしているなんてことはないだろうか。光子が運動量を運んでいるのではなくて、光子は運動量そのものなのではないか。電荷の周りに光子がまとわりついているのではなくて、光子がまとわりついた状態をあたかもそこに「電荷が在る」と錯覚しているのではないか。電場とは、磁場とは、そこに「仮想光子」とやらがうじゃうじゃと集まって何かしている状態を指すのではないか。ほら、何もかもが運動量というキーワードで説明できそうな気がしてくる。

 しかし借り物の言葉では不満足だ。電磁波が粒だとはどういうことだろう。どういう具合に電磁気力が光子の交換で説明できるというのだろう。学者たちが仮想光子と呼んでいるものは何を意味するのだろうか。何としてもそこを理解できるところまでたどり着きたいと思う。

 そのためにはまだ学ぶべきことが沢山ある。電磁気学には相対論無しには不完全な部分があるとのことだった。まずはそのあたりの弱点の克服を確認しようか。それとも解析力学で、力学についてのもっと深い見方を身に付けようか。