目標と方針

電場や磁場は果たして実在だろうか?ということをここでも問い直してみよう。

[前の記事へ]  [
電磁気学の目次へ]  [次の記事へ]


電場や磁場とは一体何であろうか?

 果たして電場や磁場が実在であるかどうかという事を問うならばいささか前時代的である。かつては、そのようなものは電荷と電荷の間に働く力を説明するためだけの便宜的なものであると考えられていた時代もあった。(そのような考えに基づく学問は「電気力学」と呼ばれていた。)しかし実際に電磁波というものが確認され、光もその一種であるということが分かると、電場や磁場が仮想的なものであるという考えは終止符を打たれることになった。

 しかし、いまだに解決されない疑問がある。それは、電場や磁場というものは結局なんだったのか、ということである。これは現代物理学が抱える疑問と言うわけではなく、私の勉強不足に基づく個人的な疑問である。実際は、相対性理論や量子電磁力学などから説明がついているようであるがその辺りをじっくり考えたことがないのでいまだに知識がリンクしていないのである。

 そこで、ここでは特にその点についてじっくり考えていきたいと思う。果たして電場や磁場は実在なのか?他のものからもっと簡単に説明がつかないのだろうか?


光子が先か電磁波が先か?

 大学で電磁気学を学んで以来、マクスウェルの方程式は電磁気学の全ての基礎法則を集約したものである、ということで納得していた。しかしこの方程式は電磁場についてを言い表しただけであって、これだけでは力学との接点がないのである。実際に電磁場が存在するかどうかを確かめようとすれば、そこに電荷を置いてみる必要がある。そこに電荷を置いて、それが力を受けることを通して初めてそこに電磁場が存在することを知るのである。

 電磁場は電荷が存在しなければ、意味を持つだろうか?つまり、電荷が存在しないところで、電磁場は独立して存在しうるだろうか?この問いは愚かに聞こえるかもしれない。独立して存在する電磁場、それこそ、「光」ではないか。電磁場は確かに電荷と独立して存在するもののようである。(それでも電荷がなければ光の存在を知ることは出来ない!)しかし、ならば逆に解釈してやることは出来ないだろうか?存在するのは電磁場ではなく光の方であって、光を基にして電磁場を説明してやるのである。

 すると「静電場」や「静磁場」はどのように説明したらよいだろう。静電場は電磁波を作らないので、光で説明できないのではないだろうか。しかし、こう考えたらどうだろう?電荷のないところに静電場は存在しないのであって、静電場は電荷の存在を抜きにして独立した存在ではないと考えるのである。こう考えてやれば、全ては電荷と光のみで説明できるのではないだろうか。ひょっとして量子電磁気学と同じ事を言おうとしているのかも知れないが、電磁気学の範囲でどこまでこの考えが通用するかチャレンジしてみたいと思うのである。


方針

 力学のページでも行ったように、ここでも本質は何なのかということに集中して議論を進める。上では大きな目標を掲げたが、とりあえずは基本から普通の説明を心がけたい。上記のような目標を達成するにはどこから手をつけたらいいかまだ分からないからである。

 電磁気学の解説には大きく2つの方法がある。一つは、基本的な法則から始めてついにはその集大成である「マクスウェルの方程式」を作り上げてゆく形式であり、もう一つは、初めにマクスウェルの方程式を掲げて、そこから色んな法則が導けることを示してゆく形式である。
私は色々考えた結果、前者の方法を取ろうと思う。この方が、マクスウェルの方程式がどのような考えで作られたのかについて深く考えることが出来そうだからである。また、上記の目標を達するためには初めからマクスウェルの方程式を受け入れるわけには行かず、批判を交えながら一から作り直すつもりで行った方がいいと思うのである。
しかしこの方法の弱点は、マクスウェルの方程式に到達するまでに読者が疲れてしまうことである。そこで、私の解説ではなるべく本質的な議論だけに絞り、手っ取り早くマクスウェルの方程式にたどり着けるように心がけようと思う。そのために数学的な議論や具体的な問題の解き方や、オームの法則やコイルのインダクタンスなどといった応用的な事柄はすっ飛ばすことになるだろう。これを私の解説の特徴としたい。本質的な理解だけしてもらえたら、後は詳しい教科書がいくらでもあるのでそれに頼ったらいいのだ。応用などという複雑で難しい事は賢い他の人に任せておくことにしよう。