作業報告2

急に視野が開けたぞ!

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状況の整理

 電磁場を表すラグランジアン密度に質量項を追加してやることで、新しい方程式を得ることになったのだった。電磁場というのはその中でも質量が 0 だという特別な状況にある場なのだという見方ができるようになった。

 こうなると、スカラー的な場と、ベクトル的な場と、スピノル的な場がますます対等なものとして見えてくる。

 まだ他にも試してみる余地がありそうだが、とりあえずここまでに試してみた状況を表にしてみよう。

 質量あり質量なし
スカラー場実数場×
複素場×
スピノル場実数場××
複素場×
ベクトル場実数場
複素場××

 「○」が既に試してみたもの、「×」がまだ試していないものだ。なるほど、状況が良く見えてきた。


現実の素粒子との対応

 このような表を作ってみたらさらに興味が増してきた。これらの場に対応する粒子として具体的にどんな物があるのかを調べて書き入れてみよう。空白をなるべく埋めようとして怪しい話も入れてあるので注意が必要だ。

 質量あり質量なし
スカラー場実数場ヒッグス粒子
パイ中間子
ディラトン?
複素場パイ中間子
スピノル場実数場ニュートリノニュートリノ?
複素場レプトン
クォーク
(ニュートリノ以外)
ベクトル場実数場Z0光子、グルーオン
複素場W±

 理論的にありそうなものは何でも存在するのかと期待したのだが、どうやら全ての空白が埋まるわけでは無さそうだ。特に質量が 0 なのに電荷がある粒子というのは自然界から嫌われているようである。電荷が光速で移動するという状況は、もしあるとすればまずいことが起こるような気がするし、本当にまずいのかどうか、ちょっとどう考えたらいいか今の私には分からない。

 ニュートリノは質量のないスピノル粒子かと疑われていた時期もあったのだが、ニュートリノ振動という現象があることから、ごく僅かな質量があるらしいという説の方が有力になっている。よって、この欄も今のところ空席だ。表では「ニュートリノ?」と書いておいた。

 パイ中間子は今となっては複数のクォークから構成されている粒子であることが分かっており、真の意味での素粒子ではないが、理論的にはスカラー粒子として扱うことが可能である。電荷を持つパイ中間子と電荷を持たないパイ中間子があるので、この表では 2 箇所に書き入れてある。

 スカラー場というのは理論を単純化したいときだけに便宜的に使われる概念かと思われたこともあったようだが、その席をヒッグス粒子が埋めてくれた。

 ディラトンというのは、ちょっと無理やり探してきた。今のところ仮説上の粒子である。質量のないスカラー場などというのはシンプルすぎて果たして使い道があるのだろうかという疑いを持ったのでしつこく調べてみたのである。どうやらそういう理論もあるらしい。仮説上の粒子ならこの他にも色々と提案されているようだが、どこに分類していいかはっきりしていなかったのでこの表には載せなかった。

 電荷と質量のあるスピノル場の席は大人気である。ニュートリノ以外のレプトンとクォークがみんなここに属している。具体的には全 6 種のクォークと電子とミューオンとタウオンのことである。

 ニュートリノだけが仲間外れなのは、電荷を持っていないからである。それで実数場のところに入れておいたのだが、もし実数場だとすると理論上、反粒子が出てこない。光子と同じように、反粒子は自分自身だという解釈がされる。そういえばニュートリノと反ニュートリノは実は同一粒子なのではないかと疑われているという話を聞いたことがある。この辺りは最新の物理でもまだはっきりしていないのだろう。

 \( Z^0 \)\( W^{\pm} \)は「弱い力」を伝える粒子である。光子は「電磁気力」を伝える粒子、グルーオンは「強い力」を伝える粒子である。どれもベクトル場であるのが面白い。

 先ほどのニュートリノの話から察しが付いていると思うが、\( W^{+} \)\( W^{-} \)とは互いに反粒子の関係になっており、\( Z^0 \)の反粒子は自分自身である。これらについてはニュートリノより調べやすいので既にはっきりしているようである。

 こんな具合にもう少し雑談していたいところだが、まだ説明していない話まで絡んできてしまいそうなので、今はこれくらいにしておこう。先に粒子のスピンの話をしておく必要を感じているのである。