映画「イノセンス」を観に行った。 世間の評判は今ひとつのようだが、評判に騙されてはいけない。 これは世界と戦える映画、世界に勝つために作られた映画だ。 ただしストーリー重視の人にはお勧めできない。 芸術を鑑賞するつもりで行くべきである。 私はストーリー重視で、映像の方はかなり軽視する男ではあるが、それでも映像に感動させられた。 後からDVDで観ればいいや、なんて思ってると後悔する。 いや、後悔さえできないだろう。 安物の家庭用テレビ、安物のDVDプレーヤーなんかでは何も伝わらない。 絶対に安物のテレビなんかでは観るな。 その場合、評価を口にする資格など無いと思え。 的外れなことを言って恥をかかないための忠告だ。 (注:付録を読むべし)
ただし注意点が2つある。
なるほどなるほど。 映画「マトリックス」はこういうのを表現したかったのね。 でもあれは大衆ウケを狙って全部アクションにせざるを得なかった、と。 まさに、ざまぁ見ろ、って感じだ。 私に言わせれば「マトリックス」の表現など、 ディズニーの「トロン」の焼き直しに過ぎないわけで、 新鮮な感動などまったくなかったのだ。 何であんな三番煎じの映画が売れたのか全く不明。 (分析はついているがこれは皮肉です。) この映画の表現はまた真似されるだろうね。 というより、この映画、初めから海外を狙ってるな。 ハナから日本人の大衆には見向きもしてない。 日本人には「仕方なくサービスで見せておいてやった」という感じだ。
あ、あとテレビCMは全然だめだな。
あれじゃ、この映画を「見るな」と宣伝しているようなもんだ。
プロデューサーは理解できてないようだな。
もっと謙遜になった方がいい。
はっ、安っぽい売り文句だ。 この作品について何も言い表していない。 「生きろ」とか「いのち」とか「真実の愛」だとか、最近のキャッチフレーズはそんなんばっか。 脳みそ固まってんじゃないのか? そうだね。 文句つけるなら代案も示さなくちゃな。 そうだなぁ・・・。
くらいの方が宣伝としては絶対インパクトあると思うけどなぁ。 幼い女の子の声で、寂しげにつぶやくように言うのがミソ。 人形と区別がつかなくなってきてる現代人の魂をぐっとつかむぜ。
久々に自分が日本人であることを誇りに思えた瞬間だった。 ああ、あと作品中で出てきた「弾性翼」のヘリは良かったよー。 航空工学の未来を示したって感じだね。 コンピュータで微妙な気流の変化を知覚し制御する、鳥のような航空機。 それこそ航空工学者の夢。 それを見事に美しく映像化した。 この分野のエンジニアにとって、 あれこれ語らなくても伝わる共通のビジョンが出来たのだ。 「あれを作れ!」が合言葉になる。
付録:(映画「陰陽師」の評価を誤った馬鹿)私はかつて妻と「陰陽師」を観に行ったことがある。 妻に誘われて「またまた変なものを観たがるなぁ」と思いながら仕方なく付き合ったわけだ。
見終った感想は、
確かに日本の古くて暗い雰囲気がなかなかうまく表現されているのは良かったが、
ストーリーの盛り上がりに欠けるし、設定も変と言うよりは下手だし、
戦いの場面だってもう少し伏線を張ってくれていればかっこ良くなるのになぁ、などというものだった。
まぁ、それでも期待はしてなかったし、こんなもんでしょう。 「な、だから俺の言ったとおりだろ?」 ところが席を立ち上がろうとふと横を見ると、そこには感動しまくった妻の姿が! なぜだッ?!
「ねえねえ、見た? あの萬斎さんの着物のこなし!」 お、俺って・・・完全に見方、間違ってた・・・? 「すみません、そういうとこは見てませんでした。」 これって・・・そういう映画だったのか。 そう言えばエンディングロールでもずっと野村萬斎さんが踊ってたっけ。 そうとは知らず、心の中で偉そうにレベルの低い評論をしてしまっていた自分が恥ずかしい。 なんて的外れなことを言ってしまっていたのか!
|