それからの私は高校で体験した一連の事件によって無口になった。
そして心を閉ざすようになった。 本当のオレを理解できるものはあの体験をしたもの以外にないのだ、と信じるようになった。 それでも、私はあの秘密を誰にも話すわけには行かなかった。 かつての仲間たちとは度々会う機会はあったが、やがてあのことは話さないようになった。
よく出来た芝居だったのか?
俺があまりにも素直に騙されたので、 俺以外はみんな本当のことを知ってるんじゃないのか? 最後に話したのは、皆と会ったあと、笹岡と車で二人だけになったとき、 長い沈黙の後で私が切り出したときである。
お互いに、喉の奥から絞り出すように「その話がしたかった」とつぶやいた。
・・・それだけである。 特に話すことはなかったからだ。
狂気との出会い孤独のあまり、狂気が現実の中にぽっかり口を開くことがある。
あれから2年の月日が流れ去り、
それは私にはとても甘く見えた。
なるほど、これのことか。
私は多くの謎が解けた気がした。
しかし、私は逃げるわけには行かなかった。 私はこの世界でやらなくてはならないことがまだあるのだ。
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