ああ、憧れの漆黒の翼。 もう一度、この手で触れることが出来たなら。 最近はそのことばかり考えている。 あんなものが本当に飛ぶのかと思わせる重厚なボディ。 巨大な三角機。 後部に剥き出しになった機械。 上部と左右の3ヶ所に取り付けられた 推進器らしき3つの円形の装置。
計器類の表示はみんな サンスクリット語か何か、 見たこともない文字で書かれているのだろうか。 だとすれば、このミスマッチがかっこ良過ぎる! 再びコックピットに戻った瞬間、 俺はその文字を読めるのだろうか。 全てを思い出すのだろうか。 ああ、しかし、 薄らいではいるが妙にひっかかるこの記憶。 俺は最後にあいつから何かを抜き取った。 あれは何だったのか。 そしてどこへやったのか。 恐らく、抜き取るとすればあいつの心臓部。 暗闇で蒼く光るあの装置だ。 もしあの翼がどうにかしてこっちの世界に来ており、 それを見つけたとしても、 その装置が入ってなければ・・・俺はそれを作れるのか? ああ、何のために何をしたのだ。 なぜそうする必要があったのだ。 まったく思い出せない。
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