夢の続き明石さんは、駅から私とは反対方向へ向かう列車に乗る。 そこは分岐駅であり、乗り場の入り口も違うところにある。 私は彼女を見送ったあと、楽しかった時間を後に残してひとり列車に乗る。 自宅近くの駅までは40分ほど電車で揺られなくてはならないので、 受験勉強をすることが多いが、ついつい眠ってしまうこともよくある。 今日もウトウトしてしまった。夢の中で思い出すあの笑顔。 彼は誰だ・・・。 あの使いの人の笑顔。 はっ! 今朝の電車の中で見た夢の続きだ。 今朝の夢の中で俺は、ある使いの方の訪問を受けた。 その方は私に手紙を持ってきた。 その手紙を開くと、俺の心は緊張と不安で一杯になった。 その手紙を読み終わったあと、その後ろにサインがしてあるのに気がついた。 記憶の中でその部分が大写しになる。 俺にはその文字が読めなかったが、夢の中の俺には読めた。 「ハミシュ・・・」 ハミシュ様だ! 俺は今朝見た夢の中で起こしたあの事件のことを叱られに行くのだと、 この瞬間までずっと思っていた。 しかし、あの使いの方の笑顔はそういうものではない。 「最後の面接」に呼ばれたのだ。
人はどこから来るのかあの世界では地上に降りて行く事が、この上ない名誉なことであった。 それは非常に危険な賭けであったが、多くのものは降りて行くことを願った。地上で受ける試練や経験は前世で学んだことを応用し、完成させるための試験場なのだ。 そのためには前世の記憶は邪魔になる。 ただ、前世で刻み込んだ魂の記憶、その向き、高潔さを頼りに手探りで進まねばならない。 みんな、魂の声に耳を傾けるのだ。 その良心はどこから来るかを考えるのだ。 人は生まれてきたときからそれぞれに性質が異なるのは当然のことだ。 私たちには皆、魂の個性がある。 それは前世で我ら自身が作り上げたものだ。 それに加えて、地上では肉の両親から受け継ぐ特質の影響を強く受ける。 親に向かって「生んでくれと頼んだ覚えはない」と言う者よ。 忘れているだけである。 自分の子供を虐待する者よ。 いつか悔やむ日が来る。 彼らはあなたを慕って、あなたを選んで来たのだ。 あなたから学ぼうと、何かを受けようと願ってきたのだ。 地上に来て間もなく死を迎える子供たちがいる。 先天的に弱点を持って生まれてくる子供たちがいる。 彼らの多くは非常に優秀で純粋な、とても偉大な方々である。 自らは苦しむことになろうとも、 地上での経験を他のものに譲ろうと考えたのだ。 そしてその両親を心から愛しているのだ。 見ていて分かるだろう。
現世のルールもしその世界から自分の魂を穢さずに戻ってくることが出来たなら、 あるいは一度は穢れてしまったとしても、 その世界に隠されているある方法を見出して再び穢れを払うことが出来たならば、 彼らは非常な尊敬を受けることになる。我々にとって地上から栄光を持って戻ってきた彼らはもはや雲の上の存在であった。 前世での私たちの先生がもらした言葉が今になってよく分かる。 「ああ、いかに多くの者が、目覚めぬまま、堕ちて行く事でしょう。」
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