俺はいつだって少数派だ私の小さい頃には、夢は白黒である、と説明するような本が多かった。 そういうものを読むたびに違和感を感じたものである。 私は白黒の夢など見ないのだ。私の夢は常にフルカラー。 なぜか匂いはないが、音も感触もある。 白黒に近い夢を見ることもあるが、夢の中で「今日は曇りだな」と思う。 最近では「芸術家などはカラーの夢を見るらしい」と書かれた本が増えてきたので、 私も「やっぱりそうだろ?ちゃんとカラーの夢はあるんだよ!」と言えるようになってきた。 小さい頃は誰も信じてくれなかった。 そもそも夢への関心自体がないからどうでもいいことのように扱われる。 夢については鍛錬を積んだので、やろうと思えば夢の続きを見ることも出来るし、 一日のうちに3つも4つもの夢を覚えていたりする。 夢の中で聞いたこともない言葉を聞くことは良くあることだし、 素晴らしい音楽を聴いて帰ってくることもある。 そんな時は起きた瞬間、その曲を口ずさんで録音するのだ。 本当はフルオーケストラで耳に残っているのだが、私には口笛程度の表現しか出来ない。 あれを世に出すことが出来ればヒット間違い無しなほど切ないメロディなのだが、 私には編曲の才能がないのであれを再現できない。
実験よく夢の中で高いところから落ちたりすると足がびくっとなって 驚いて起きることはないだろうか。 全身にズドン!という衝撃が走ったり。 私はあの現象を人工的に起こすことに成功した。 やり方を紹介しよう。 君にも出来るかもしれない。 ただし、心臓の弱い人は気をつけたほうが良い。
まず、横になりながら、平らな地面に立っている自分を想像する。
完全に自分はそこにいるとイメージするのだ。
その時に自分に見える風景をなるべくリアルに想像しよう。
「ズシン!」 全身への衝撃とともに私は我に返り、 自分が実際には部屋で寝転がっていたことを思い出すのである。 この実験が予想どおり成功した時はとても嬉しかった。
ストーリーは瞬時に作られるのかそれにしても、夢はとても不思議で、 落ちる夢をみて驚いて目を覚ますと実際にベッドから落ちていたりする。 夢の中では前触れ無しに突然落ちたというわけではなく、 ちゃんと以前から伏線が張ってあってストーリーに基づいて必然的に落ちるわけなのだが、 あれだけの内容をベッドから落ちるほんの一瞬の間に見るのだろうか。 私の夢の内容は濃く、ぼんやりしたイメージ的なものではなく、 設定がやたらしっかりしているのだ。
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