なぜこのページは
検索エンジンに載らないのか

被害妄想たっぷりでお送りします。
(2002年12月の状況を語ったものです)


 この私のホームページは見た目は美しくもないし図も入っていないので、 初めて来た人は分かりにくそうだと思うかもしれない。  私も書店に行って教科書を選ぶ時にはパラパラと本をめくって、 分かりやすそうな図が載っているかどうかで判断することが多い。  確かにそういう点ではこのページは大変不利であるし、私の努力不足の点もあるであろう。

 しかし私としては読者を引き寄せるための図を描くのに時間を費やす暇があったら、 もっと役に立つ記事の方を増やしておきたいと考えている。  確かに私の説明の中には図がないと分かりにくい部分がいくつかあるのは知っていて 気になってはいるのだが、あまり理解の助けにならぬ図や分かった気にさせるだけの馬鹿な図は 描こうとは思わない。

 なにより、読者からの反響として「図を増やせ」という要求は全くなく、 「早く先を書け」という方が断然多いのだから、当然図を入れるのは後回しになってしまう。

 図が少ないという不備は感じているものの、私はこのページに自信を持っている。  そうでなければ続けられるものか。
 私の学生時代にこんなページがあればとても救われたに違いないと思っている。  実際、大学生、院生の方から「助かりました」というメールが届くので大変うれしい。  それだけでなく、高校生や社会人の方、お医者様など年齢の幅も広い。  しかし時々どこかの研究所の方や大学関係者からお礼を言われたりすると、 正直「おいおい、そこは大丈夫なのか」と思ったりする。  虚栄心が満たされるのも確かだ。

 こんな情報を世に流して大丈夫なのだろうか、間違ってはいないだろうか、と 不安に思いつつも、誰かの助けになるならばということで、 私はこのページをもっと広く知ってもらいたいと思っている。  私自身このページを世間に知らせるための努力をしていないわけではない。


ここからが本題だ

 ここを読む人は当然よく知っているだろうが、 ネット上には「検索エンジン」なるサービスがあり、 ユーザが知りたい情報を見つけ出せるように助けてくれている。  この検索の仕組みには大きく分けて「キーワード検索」と「カテゴリー検索」とがある。  前者はユーザが知りたい内容のキーワードを入力するとそれについての情報を載せている ページを紹介してくれる仕組みになっており、 ロボットと呼ばれるソフトが普段から勝手にウェブ上を巡回してそのためのデータを集めている。  後者はページの内容をジャンル別に分類してユーザに紹介してくれるサービスであるが、 この分類は多くの場合、人間の手作業で行われており、 それぞれの検索エンジンを管理している企業の方針によってやり方が異なっている。

 さて、ネット上で物理のことを調べたい人がいた場合、 「物理」「相対論」などのキーワードで調べても、あまりに漠然としていて 世の中のありとあらゆる分野のホームページがこの検索に引っかかる。  このような検索をかけた場合には、 私のページは先頭から何百番代後ろにならないと出てこないことが多い。  しかし私のページの特徴を示す単語は他にあまりないのだ。 「物理」「解説」「高校」 くらいにするとやっと人の目に付く可能性が出てくるようになる。  このような状況なので「キーワード検索」は あまりこのページの宣伝には役に立っていないわけだ。

 そこで「カテゴリー検索」に希望を託すことになる。  私自身はあまり使っていないのだが、 おそらく多くの人々は使っているに違いない。  たとえ使う人の割合が少なくともその利用数は多いはずだ。  ところがこのカテゴリー検索に載せてもらうためには それぞれの管理会社の社員による「独自の審査」を くぐり抜けなくてはならないのである。

 私は半年に一度くらいは目立ったサイトに 審査をしてもらうためのチャレンジをかけてはいるものの、 一度も登録の通知をもらったことがない。  今回もどうやらだめなようである。 この機会に、なぜこのページが審査に通らないのかを分析してみた。


Yahoo! Japan     http://www.yahoo.co.jp/

 ここのカテゴリ検索の分類に私のページが入るとしたら

 自然科学と技術->物理学

の直下くらいが妥当だろう。  そんな目立つところはダメだと言うのなら、贅沢は言わないので その下の「講座」とか「理論物理学」なんかでも構わない気がする。  しかしここは物理学に関して言えばかなり「お堅い」ページ(公の研究機関など)ばかりを 集めているようなので、もしこのページが載らないとしても 方針が合わないのだろうということで納得できる。

 以前は「トンデモ系」もかなり含まれていたがどうやら排除されたようだ。


Lycos     http://www.lycos.co.jp/

 ここでは物理に関わるカテゴリが「その他」に押しやられている。  科学への関心の低さがうかがえる。
 とりあえずどのようなものが登録されているかを見てみよう。

  その他->自然科学・技術->???

 この下は、環境、動物、天文学、超常現象? どこへ行けばいいんだ?  ああ、なるほど、「もっと見る」でさらに深く潜るか、上の階層から 直接「自然科学・技術」を選ばないとダメなのね。  厄介だな。

  その他->自然科学・技術->物理

 ありました!  やはり「お堅い」ところが多く、面白そうなページが目に入らない。  これじゃ気軽に物理関係の話題を探しにきた人が引き返してしまうのではないだろうか?  そんな中に「トンデモ」さんもちゃっかり混じってるし・・・。

 ここくらいの雰囲気なら「EMANの物理学」が選ばれたとしても不思議ではないはずだ。  なぜ審査に通らない???


フレッシュアイ     http://www.fresheye.com/

 ここは情報の新しさを売りにしている検索サイトである。  過去1ヶ月以内に更新されたページしか紹介しないらしい。  しかしちゃんとカテゴリ検索があるのはどういうわけだ?

 なるほど、カテゴリ検索の方は有料らしい。  これでは仕方ない。  果たしてここの物理にはどんなサイトが入っているのだろう?

  ライフとカルチャー->自然科学->物理学

 確かにここで紹介されているのは有名処ばかりであり、 有料でも登録する理由が分かる気がする。  しかし面白い物理関係サイトは他にもいろいろあって、 ここで紹介されているのはほんの一部に過ぎない。  軽い気持ちで物理を見に来た人がそういった多くのサイトに 出会う機会を与えられないとしたら悲しいことだ。

 ちなみにここのキーワード検索で「EMAN」「物理」といったもろに私のページを 狙ったキーワードで調べても私のページは表示されない。  ここの方針では全体の1割以上の更新がない限り古い情報だと見なされるので 私のように表紙を変えずに部分的に更新を続けているところは眼中にないのだ。


Excite     http://www.excite.co.jp/

 ここのキーワード検索は Google を使っているらしい。  Google はヒット率が高く、いい検索エンジンである。  さて、カテゴリ検索の方はどこにあるのだろう。  あった。

  教育と学校->自然科学->・・・・

 ええっと「自然科学以下の人気サイトランキング」なんてのが表示されているぞ。  おいおい! みんなゲームじゃないか?  「自然科学」分野でゲームとはどういうことだ? ちょっと寄り道。

  > 教育と学校> 自然科学> 工学> コンピューターサイエンス> バーチャルリアリティー>バーチャルゲーム

 なるほど事情はよく分かった。 では気を取り直して物理へ行ってみよう。  分類が少ないなぁ。 もし私のサイトが入るとしたら「基礎物理」だな。  ええっと・・・、ほとんど全て大学の理学部のホームページじゃないか。  つまらん。 帰ろう。

 ここは LookSmart っていう別企業のサービスを使ってるようだ。  msn や Biglobe、ISIZE なんて有名な検索エンジンもみんな同じサービスを使っていたのか。  どうやったら登録されるのだろう?   初期費用「32000円!!」バカ言え!!  商売でもないのにそんなに払えるか! こりゃあかん。  みんな騙されてるよ。  有名処の検索エンジンのカテゴリ検索で探せるのは一部の金を積んだ奴らのページだけだ。  商売っ気のないサイトは少ないというわけだ。

 しかし一度ここの審査に合格してしまえば基準を満たす限り ずっと載せてもらえるのは良心的だ。  掲載サイトの質を保つためのメンテナンス料と考えれば妥当な金額なのかも知れない。  だが私のような者が大金を積んでまで自分のページを宣伝するとしたらいやらしいではないか。  「あいつ、あんなにも自信持っちゃってるよ」なんて言われそうだ。


infoseek     http://www.infoseek.co.jp/

 次、インフォシーク行ってみよう。  以前はここには物理関係のカテゴリ自体が存在しなかったのだ。  しかし知らない間に増えたようだ。  階層が深くなっている。

 学び> 学問・専門分野> 理学> 物理学

 ここは質がいいようだ。  しかし、いいサイトなのに載ってないところもあるぞ。  一体どうやって取り入れば載せてもらえるのだろう?

 なになに?リンクリクエストは一時休止だって?  前にもそんなこと言ってたじゃねぇか。  今は J-seek に専念しているのか。 前にきたときは Ez-seek だったし、  その前は i-seek だったぞ。  俺はよっぽどタイミング悪いのか?

 グルメとかエンタテイメントの情報よりも物理が大切だろう?そうじゃないのか!?


goo     http://www.goo.ne.jp/

 ここではコンピュータが自動でカテゴリ分類をしているそうで、  ユーザからの登録や、「分類間違ってるぞ」といった文句は一切受け付けていない。  そして私のページはなぜか、

  自然科学と技術 > 天文学、宇宙科学 > 宇宙物理学

に分類されているのだ。  分類間違ってるぞ!  何で「天文学」なんだ。  力学の中で「地球」って言葉を使ったからか?  「月」の例えを使ったからか?

 宇宙のことを知りたくて調べた人が、まさか普通の物理学の解説である このページには来ないだろう。  これではほとんど意味がない。


google     http://www.google.co.jp

 ここの検索は大変ヒット率がいいので愛用している。  しかし、google にカテゴリ分類があったのは気付かなかった。  ちょっと覗いてみよう。

  > 科学 > 自然科学

 うーむ。これだけか。物理に関してはこれより深い分類もないようだ。  しかも登録されている数も少ないと来ている。  ここは google の独自の判断で選んでいる途中だそうなので任せるしかないようだ。


考察

 いくつかのサイトでは有料だったり、独自に調査しているということだったりして 私のページが登録されないのも分かる気がする。  しかしそれ以外のところでも登録されないのはなぜだろうか?

 yahoo! の登録基準を見ると、

  • 単にいくつかのリンクを集めただけ、簡単な内容と連絡先が書かれただけ、既に他のサイトから容易に得ることができる情報しかない……といったものではなく、十分な量のオリジナルの情報を提供してくれる。

  • サイトの目的や伝えたい事柄が明確で、デザインや内容がわかりやすい。
  • 設置されたリンクがすべてきちんとつながる。画像が全て表示される。
  • デザインや構成に工夫を凝らし、どんなユーザーでも容易に閲覧できる。
  • とある。  別に問題ないじゃないか。  他の検索サービスの登録基準にはこんな項目もあった。
  • 一方的な情報提供ではなく、掲示板などのインタラクティブ性があること。

  •  なるほど、一方的な情報では嘘の情報を流すのも容易であるので、 他の人が自由に批判を書き込めるような状況を作っておくことが大事なわけだ。  確かにうなづける。  実は私が最近掲示板を設置したのにはこういった要求に応えようという意味合いがあったのだ。

     しかしいくら掲示板を設置したからといっても、情報などいくらでも操作できるものである。  不都合な書き込みは削除することだって出来てしまう。  削除などする必要もないかもしれない。  トンデモ系のサイトの掲示板には多くの批判が書き込まれているが、 指摘された内容をまじめに検討して訂正するような姿勢もない。  やがて批判するのも馬鹿らしくなって批判者はそこを去り、 応援する人たちばかりが集まってきて、 あたかもそのサイトが一般に受け入れられたものであるかのような錯覚を与えるものとなる。  掲示板の存在などあまり情報の質とは関係ないのだ。  この項目は今では撤回されているので登録基準とはあまり関係がないようだ。

     では他に私のページが登録されない理由が何かあるだろうか?  私は「選ぶ人」に原因があるのではないかと思うのである。
     人手によって厳選されているとか言っているところも、 どうせ分類する人たちは物理については疎いだろうから、 どのページの説明が分かりやすくてどれが役に立つのかということが分からないのだろう。  綺麗な絵や、それらしい図が入っていると内容が間違っていても騙されてしまうようだ。  事実、カテゴリ検索の中にはトンデモ系も多い。  町の図書館と似たような状況だ。  町の図書館の物理のコーナーに行くと、まともな物理の本はほとんどなくて、 トンデモ系のコレクションになっているので失望させられる。

     さらにこの他にも原因がありそうだ。  ある検索エンジンの登録基準の中に次のような一文を見つけた。  私のページにとって一番の問題となっているのは恐らくこの項目だろう。

  • 制作中・工事中のページがほとんどないこと。
  •  最終的にこれに引っかかっているようなのだ。

     しかし、一言言っておく。

    このサイトは永遠に工事中だっ!
     このサイトの工事が終わるとすればこの世の物理学の探求が全て終わりを告げるときである。  完成したものばかりを手にするのに慣れた贅沢な者どもに、 この世には未だ完成しないものがあるということを思い知らせてやらなくてはならない。  思考の「途中を見ること」こそこのページの意義なのであり、 すでにこのページは意図した機能を「完全に」果たしているのだ。


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