物理を解説 ♪
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外積について

最近まで意味も考えず形式的に使っているだけだった。
作成:2002/2/1
更新:2006/11/13

内積の復習

外積の前に内積を説明しておいた方が簡単かもしれない.内積は高校でも学ぶので詳しく説明する必要はないだろうと思うが外積と比較したいのだ.二つのベクトルA,Bの内積はA・Bと表現することになっていて,それぞれのベクトルの大きさを|A|,|B|と表せば, 数式 と計算してやることができる.ここでθは二つのベクトルが作る角である.これはどういう意味かと言えば,一つのベクトルAの大きさと,もう一つのベクトルBAと同じ向きの成分の大きさを掛け合わせたものである.

内積の図形的な意味を説明する図

つまり,同じ向きの成分同士を掛け合わせたい時に使うのである.だから物体に力を加えた時の仕事を計算する時に「力の方向」と「力の方向に進んだ距離」をかけるのに使える.もちろん立場を入れ替えて,ベクトルBの大きさと,ベクトルABと同じ向きの成分の大きさを掛け合わせたものである,と言っても同じことである.

これをベクトルの成分で計算してやることもできて,それぞれの成分をA=(x,y,z),B=(X,Y,Z)と書けば, 数式 と表せる.説明は必要だろうか先ほど言ったように,同じ方向の成分同士を掛け合わせるという考えをそのまま実行しただけである.とは言うものの,納得するくらいまで証明しようとするとめんどくさいんだよなぁ.


外積のイメージ

次に外積について説明するが,まず表面上の知識を伝えることから始めよう.二つのベクトルA,Bの外積はA×Bと表現することになっているが,内積の場合と違って結果はベクトルになる.だから外積のことを「ベクトル積」と呼ぶこともある.それに対して内積は「スカラー積」と呼ばれたりする.なぜベクトルになるのかは後で説明しよう.

ベクトルと言うからには方向がある.それは先に書いた方のベクトルAの指す方向から後に書いた方のベクトルBの指す方向に向かって回転した時,その回転面に垂直な方向である.回転面に垂直な方向と言っても 2 つあるが,その内の,右ねじを回したときにねじが進むのと同じ方向がそれである.このことから,外積はかける順序によって答えが違ってくるということが分かるだろう.ABを逆にするとベクトルの方向が正反対を向いてしまうわけだ.数値的にはプラスマイナスが逆転することになる. 数式 このベクトルの大きさは,それぞれのベクトルの大きさを|A|,|B|と表せば, 数式 と計算してやることができる.ただしθは二つのベクトルが作る角である.

外積の図形的な意味を説明する図

内積でcosθを使ったから今度はsinθを使うべきだろうというような単純な類推で外積の概念が出来上がったのではない.しかしまあ,見方によってはそうと言えなくもないか.もう少しあとで説明する.

このベクトルの大きさはちょうど二つのベクトルが作る平行四辺形の面積になっているが,それは結果であってあまり外積そのものの理解の助けにはならない.しかし知っていて損ではない.計算をするときにそういう知識が役立つことがあるのを知っている.

以上が外積の図形的イメージである.普通の教科書にはこれくらいの説明しか載ってないので外積がやたら難しいものに思えるのである.次にこのような概念を作り出すに至った思想を説明することにしよう.


外積を導入するに至った理由

外積は内積に比べて格段に複雑な気がするが,思想自体は似たようなものである.内積が「同じ方向の成分」をかけ合わせたいとの要求によって作られたのに対して,外積は「違う方向の成分」・・・すなわち互いに直角方向の成分同士をかけ合わせた値を求めたいという要求によって生まれたのである.例えば,ローレンツ力は電荷の進行方向と直角方向成分の磁場のみが意味を持つ.そのような関係は物理ではよく出てくるのだ.

外積は内積のように簡単に計算できるはずであった.二つのベクトルの大きさの積にsinθをかけてやれば,一方のベクトルAの大きさに,もう一つのベクトルBAに対して直角の成分をかけ合せた大きさになる

ところがここで問題が起こる.一つのベクトルに対して直角方向の成分と言っても,それは無数に存在するのだ例えばx方向のベクトルを考えてみよう.このベクトルに対して垂直な方向はyz面上のあらゆる方向である.仕方ないのでy方向とz方向の 2 方向で代表させることにしよう.つまり,x方向を向いた初めのベクトルの大きさに別のベクトルのy方向成分をかけたものと,z方向成分をかけたものの二つを作る事にしたのだ.もはやこの時点でこの計算結果を 1 成分で表すことはあきらめた方が良い.

この他に,y軸に対して垂直な方向としてx軸とz軸をとり,z軸に対して垂直な方向としてx軸とy軸をとってやる.こうして出来た多数の組み合わせの結果をうまく並べてスマートに表現してやる必要が出てきてしまった.外積の結果がベクトル表現になるのはこういう必然があるのである.

ここでうまいこと考えたもので,1 つのベクトルのx軸の成分とそれに対して垂直なもう一方のベクトルのy軸成分をかけたものをz軸成分として配置することにした.こうしておけばx軸とy軸の一方を特別扱いすることなく対称な配置が可能になるわけだ.同じようにy軸とz軸をかけたものはx成分に配置,といった具合になる.図形的には先ほど説明した右回りの方向のベクトルを導入したことに相当する.

この考えを使ってそれぞれの成分で計算する時の式を作ってみよう.二つのベクトルの成分をそれぞれA=(x,y,z),B=(X,Y,Z)と表すとする.外積の結果のx成分はベクトルAy成分とベクトルBz成分を掛け合わせたものになるので,yZ,・・・といった具合に埋めていくと,(yZ,zX,xY)となるが,まだベクトルAx軸とベクトルBz軸をかけたxZなどを忘れている.これはどこに入れたらいいだろうかベクトルの立場を交換して考えればこれはz軸とx軸の順にかけたものであって,すでにy成分に入っているzXと同じ意味を持つものである.よってこれもy成分として入る権利がある.しかし図形的に考えて,外積ではベクトルの立場を交換すると符号が逆になるのであった.そこでこれらは,(-zY,-xZ,-yX)のように入るべきである.まとめれば次のようになる. 数式 このように計算すれば初めに図形的に考えた外積のベクトルをそれぞれの成分を使って表せるのである.

今この結果を求めた考え方が全てだというわけではない.この考え方はどうもしっくり来ないな,という人は,2 次元グラフ上に二つのベクトルを描いてやればこれがxy平面を表すことになるので,この一方のベクトルともう一方の直角方向成分をかけたらどうなるかというのを幾何学的に求めてやればいい.この答えが外積のz成分のxY-yXとなることが分かるだろう.


これくらい覚えろ!

計算がめんどくさいって本当に覚えなくちゃいけないのかって物理学者たるもの,これくらいはいつでも書き下せるようでなくてはならない.

しかし丸暗記するのではなくて,ほら,ちょっと規則性をつかめば簡単だろうそのためにわざわざ分かり易いようにxyzXYZを使って書いておいたのだ.なんて親切だろう.これ以上は過保護になるから自分で考えるように.



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