量子情報

最近は情報理論の観点からみた量子力学の話題が活発になってきています。

そのような方面のやさしい教科書はまだ不足しており、
どこから学んだらいいのかという声も良く聞こえてきます。

一方、この方面の研究者の間に先が見えぬ不安があるのも感じ取れます。

そういう現在進行形の分野について、
私のところに流れてきている情報を、
書籍紹介という形で共有したいと思います。
あまり簡単ではない本も含めて紹介させていただきます。

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量子コンピュータ・量子情報・量子通信
Michael A. Nielsen、Isaac L. Chuang 著 (原著初版 2000年)

 量子コンピュータや量子情報をちゃんと学びたいならまずはこれを読めと言われるような古くからある有名な教科書です。
 実際の本のタイトルよりも、著者らの名前から「ニールセン・チャン」と呼ばれて親しまれています。

 元々は一冊の本ですが日本語版では3冊に分かれました。
第1巻「量子力学とコンピュータ科学」
第2巻「量子コンピュータとアルゴリズム」
第3巻「量子通信・情報処理と誤り訂正」

 原著のタイトルは「Quantum Computation and Quantum Information」です。 「量子計算と量子情報」?
西野 友年 著 (2015年)

 軽い気持ちで学ぶならまずはこのあたりが適当だろうと思います。
宮野 健次郎、古澤 明 著 (初版 2008年) (第2版 2016年)

 もう少ししっかりと学ぼうとするならこのあたりが適当だろうと思います。
石坂 智 他、計5名 著 (2012年)

 評判が良いので置いておきます。
 近ごろ、第2版が発売になったようです。
小柴 健史、藤井 啓祐、森前 智行 著 (2017年)

 新しいタイプの計算方式「観測型量子計算」の解説です。
 主流となってきている量子ゲートによる量子計算の他にも、 観測を実行することによって同等の計算を行うことが出来るらしいのです。
 優位性などは私には分かりませんが、そういう話題もあるのだということで。
森前 智行 著 (2017年)

 評判が良いので置いておきます。
 後半がかなり難しいですが、「観測型量子計算」などにも触れております。
佐川 弘幸、吉田 宣章 著 (初版 2003年)(第3版 2019年)

 評判が良いので置いておきます。



圏論的量子力学 そんな分野があるのかと驚いており、私にはまだ分かりません

ボブ・クック、アレクス・キッシンジャー 著 (原著 2017年)

 この分野の創始者によって書かれた教科書の翻訳です。
 かなり高価ですが、900ページを超えているのでそんなものでしょう。

 おそらく最近の量子情報理論の進展と無関係ではないのでしょう。
圏論との親和性が高いというところに何かあるのではと思えてしまいます。
Chris Heunen、Jamie Vicary 著 (原著 2020年)

 公開されているページを少し覗いた印象では数学的な絡みなども書かれているようで大変そうなのではないかと思えます。
中平 健治 著 (2022年)

 圏論の細かい話には踏み込まず、実際的な図を使った計算方法について詳しく分かりやすく説明してくれています。 おそらくこの本が一番入門に適しているのではないかと思えます。



情報理論的な量子力学 新しい見方をした量子力学の教科書です。まだ多くありません

堀田 昌寛 著 (初版 2014年) (第2版 2019年)

 量子情報と物理学との関係を論じたかなり専門的な本です。 量子エネルギーテレポーテーションなどの話題を含みます。

 既に紙の本は売り切れであり、雑誌扱いの書籍ですから再販は見込めません。
現在はサイエンス社のサイトからPDF版(パスワード付き)として購入することができます。
リンク先はPDF版の販売ページです。
堀田 昌寛 著 (2021年)

 「量子力学の本質は情報理論であり、世界は情報から出来ている」という強い主張を持った著者が、 これからの時代のための新しい教科書の形を提案するという意気込みで書いた本です。

 少々難しいので私がnoteで解説記事(有料)を書いています。


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