量子力学

最近は色んな分野で必修科目となってきています。

量子力学は近頃になって
情報理論としての新しい発展があり、
その見方で書かれた教科書が増えてきています。

そのような傾向の強い教科書を表す言葉として
「現代的な教科書」という表現を使うことにします。

どんな要素をもって「現代的」と呼ぶべきかについて
店長には迷いがあります。

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最初の一冊? 選ぶのがなかなか難しい。一冊であきらめずに色々試してみてほしい
猪木 慶治、川合 光 著
 「猪木・川合」(いぎ・かわい)と言えば、上下巻の有名な教科書があるのですが、それとは別のものです。
 これは入門者向けに後から書かれたものです。
シンキロウ 著
 とても安いものですから、軽い気持ちでこういうものを試してみるのも良いかもしれません。
サスキンド、フリードマン 著
 タイトルに「再入門」とある通り、現役の学生向けだけでなく、物理学を忘れてしまった社会人にも分かるように丁寧に書かれています。 量子もつれ状態などの情報理論的な話までしっかり書かれているので長く使えると思います。
 「現代的な教科書」に分類されると思います。

(追記)再入荷の見通しが無く、中古も出回っていないようなのでKindle版にリンクしておきます。
広江 克彦 著
 世の中の量子力学の教科書は難しすぎると思ったのでここの店長が自ら書いたものです。
現代的だとは言えなくなってきたので気後れしております。
しばらくしたら新しいタイプの本を書こうと思います。



入門レベル 比較的楽に読めそうな教科書です
小出 昭一郎 著
 大学の教科書として指定されることも多い、標準的な教科書です。 初学者向けに書かれており、一通りの内容が説明されています。
小出 昭一郎 著
 その下巻です。
 多対系の話や角運動量の合成、相対論的な量子力学など、少し高度な話で構成されています。
原島 鮮 著
 古くから生き残っていて人気のある初学者向け量子力学教科書です。
谷村 省吾 著
 量子力学の本質に切り込む形の現代風の入門者向けテキストです。 およそ歴史順に解説される伝統的な教科書とは違って、線形代数と量子力学の関係が語られます。 扱っている範囲が狭いので副読本として読むのが良いように思います。

 初学者が独学するには少し難しい部分もあるように思います。
(縮退がある場合と無い場合を分けて説明していないので和の記号のあたりが煩雑だったりします。)
清水 明 著
 量子力学の体系が公理的に整理されています。 いきなりこの本だけで勉強しようとすると訳が分からなくて挫折するかも知れません。 ある程度勉強してから読むと量子力学の全体が分かり、大切な本に変わります。
前野 昌弘 著
 内容がぎっしり詰まっていて分かりやすく書いてあります。
 「くどいほど丁寧」な説明で有名な著者なので、脇道の議論にもじっくり付き合う覚悟が必要になるかもしれません。
 どうしても困ったときにはこの本があると思って安心してください。



中級レベル 普通の人はこれくらい読めれば十分
猪木 慶治、川合 光 著
 レイアウトがすっきり見やすいので初学者向けの印象がありますが、内容は少しレベルが高いです。 数学につまづかなければテンポよく学べる本です。 計算方法の実例を学ぶ本と考えて取り組むと良いかもしれません。
猪木 慶治、川合 光 著
 その下巻です。
 応用的な話が多いです。基本的な話は上巻にまとめられていますので、先を焦らずまずはそちらに集中しましょう。
井田 大輔 著
 「シュレーディンガー方程式を解かない教科書」というキャッチフレーズで最近登場した本です。 線形代数の説明から始める現代的な教科書です。 かなり数学寄りの記述のこだわりがあります。 シュレーディンガー方程式はちらりと出てくるだけでほとんど相手にしません。
 シュレーディンガー方程式を解いて分かる様々な現象とは別の話題に思い切り集中した本だと言えそうです。
堀田 昌寛 著
 「量子力学の本質は情報理論であり、世界は情報から出来ている」という強い主張を持った著者が、 これからの時代のための新しい教科書の形を提案するという意気込みで書いた本です。 言うまでもなく現代的な教科書です。
サクライ、ナポリターノ 著
 1982年に亡くなられたJ.J.サクライの書きかけの原稿をかき集めて、未完成だった下巻部分の原稿を補完し、1985年(日本語版は1989年)にこの本の初版が出版されました。
 この本はそれを元にして修正や追加を施した第2版で、2011年(日本語版は2014年)に出版されました。
 この本はそれを元にして修正や追加を施した第3版で、2020年(日本語版は2022年)に出版されました。
 第2版からナポリターノが共著者として加わっています。
 まだ第3版の下巻の日本語訳が出ていませんのでご注意ください。

 第2版と第3版の違いですが、上巻の内容はおそらく全く同じです。 しかし日本語訳が全面的に見直され、読みやすくなっています。 また式番号の付け方が変わっています。(第2版では節ごと、第3版では章ごとの通し番号) そのため、版が違う場合には輪読などに支障があります。
サクライ、ナポリターノ 著
 その下巻です。
 第3版の下巻の日本語版が出るのは今年(2023)か来年くらいになるのではないでしょうか。
 古くからある本ですが既に「現代的な教科書」の要素が多く含まれてきています。

 第2版と第3版の違いですが、下巻の内容は色々と変わっているようです。 すでにナポリターノの著書と言っても良いのではないかという感じになっています。
シッフ 著
 古い本ではありますが何かと役に立つ事が多いです。 かつての入門書ですが、最近の親切な本と比べると分かりにくいかも知れないので中級に分類しておきます。
シッフ 著
 その下巻です。
 小さめの字でぎっしり書かれており、ページ数も多いです。 何でも載っているという印象がありますが、さすがに古くなってきたかもしれません。
朝永 振一郎 著
 大学の教科書として挙げられることもほとんどなくなった古くからある本ですが、いまだに強い人気があるので並べておきます。 店長は未読です。 入門書でもなく、最近の話題が載っているわけでもないようですが、 初期の量子力学の発展の思想が分かりやすく説明されているようです。
朝永 振一郎 著
 その下巻です。
 歴史に名を残す天才科学者の精緻な思想に触れられる部分が魅力なのかもしれません。
 下巻の値段が上巻より少し高いですが、ページ数がそれなりにあるからでしょう。



演習書
6名による共同編集
 古くから生き残っている演習書です。
三枝 寿勝、瀬藤 憲昭 著
 シッフの教科書の章末問題の解説本です。 海外の教科書には解答が載せられていないことが多いのです。 シッフの教科書と合わせて読まないと分からないと思います。
丸山 耕司、飯高 敏晃 著
 上に挙げた方のサクライの教科書の章末問題の解説本です。 自分で考えるなら必要ありませんが、助けが欲しい時に参考になると思います。



上級レベル 場の量子論に近かったり、相対論的であったり
サクライ 著
 自ら上級と名乗っているので上級に分類しておきました。
 応用的な難しそうな話が多数含まれています。 輻射の話とか相対論的量子力学の話などです。
サクライ 著
 その下巻です。
 場の理論へと橋渡しをしてくれる内容です。
ランダウ、リフシッツ 著
 理論物理学教程シリーズは大きく難しくなり過ぎたので、新たに全2巻の「小教程」が書かれました。 この第2巻では量子力学と相対論的量子力学がまとめられています。
 文庫本ですが、ページ数はかなりあります。

(ちなみに第1巻は力学、電磁気学、相対性理論です。)
西島 和彦 著
 日本語で相対論的量子力学について詳しく書かれている本は数少なく貴重なので並べておきます。
川村 嘉春 著
 最近になって出てきた本です。 目次を見る限り、まさに相対論的な量子力学という内容です。



未分類 他にもいい本がありますが、選びきれませんでした
グライナー 著
 実例が多く図解されており、初学者向けです。
 普通のA5サイズの教科書(148×210)よりひと回り大きいです。(165×240なので日本ではちょっと特殊)
上田 正仁 著
 量子力学の導入部分から始まって、ごく最近の応用的話題まで広く説明されています。 私は当時まだ情報が乏しかった量子コンピュータについて知りたくて買いました。 初心者向けです。入手困難になりつつあるので、こちらに移動しました。
ベス 著
 最近の話題を含んだ海外の教科書の和訳ということで、どのように書かれているのか興味があります。 店長は未読です。
高橋 康 著
 量子力学の基本を理解するために必ずしも解析力学が必要だというわけではないのですが、 少し古めの教科書では解析力学の話が多く出てきます。 解析力学的な話題に不安を感じたときにはこの本が役に立つと思います。



未分類 あとで科学史あたりへ移動する予定です
高林 武彦 著
 気軽に読めるほど簡単ではないと思いますが、読み物ですので、紙とペンを用意して取り組むようなものではありません。 何度も読んでいると慣れてくるでしょう。
石井 茂 著
 不確定性原理についての科学史的な読み物です。 最近になって不確定性原理に変更を加える提案をした、小澤の不等式の話題があるのが特徴です。

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