まとめ

思ったより力学は単純だ。

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運動量だけで全てを説明できる!

 これまで運動量、エネルギー、角運動量について考えてきたが、それらの保存則はニュートンの 3 つの運動法則を基として導かれるものであることが分かった。なぜニュートンの運動に関する 3 法則からそれら 3 つの保存則が導かれるかといえば、ニュートンの運動の法則が空間、時間、回転に対しての対称性を暗に含んでいるからである。ただし、角運動量保存則を満たすためにはニュートンの第 3 法則の中に「力の作用・反作用はそれらを結ぶ直線上で起こるべし」という条件を書き加える必要がある。

 しかし意外なことに、これら 3 つの保存則は、運動量を考えるだけですべて説明がついてしまうのである。しかしここで言いたいのは「運動量保存則から残りの 2 つの保存則が導かれる」という意味ではないので気をつけて欲しい。

 例えば、運動量保存則は「運動量は交換されるもの」という事実を表しており、エネルギー保存則は運動量が交換される法則が距離にだけよるものであって時間により変化しないということから導かれる。また角運動量保存則はその運動量の交換が一点でのみ行われるという事を考えれば条件が満たされる。

 結局は、運動量やエネルギー、角運動量という「別々の何か」が存在するのではない。現実に起きているのは、運動量が、時間によって変わらないある規則に従って、一点で交換されているというただこの事実だけなのである。

 エネルギーや角運動量という概念は計算をする上では便利なものではある。しかし実際にそこで何が起こっているのかということを説明するためには運動量を考えるだけで十分なのである。


注意

 イメージ的には「運動量」を基本的概念として考えた方がすっきり理解できるが、理論的に厳密であろうとするならば、ニュートンの運動の 3 法則を「原理」として認める方が安全である。

 どちらを取るかは、どちらを大切にするかに依る。「数学的厳密さ」か「本質を見極める目」か。中には「数学こそが本質だ」と主張する人もいるのでこの辺りの考えは人によって違うだろう。

 もう一つ注意。運動量の交換がお互いの距離だけによって決まる、と書いたが、力学の中では論じなかったことがある。それは、電磁気学の中の話だが、ローレンツ力というものがあってポテンシャルがお互いの速度にもよるのである。この場合に、同じように運動量だけでエネルギー保存を説明できるのかを確認しなくてはならない。


これから論じること

 私は初めから運動量を贔屓目に見ていたが、まさかここまで簡単にまとまるとは思ってもみなかった。

 初めは、エネルギー保存則と運動量保存則はそれぞれ対等な宇宙の二大法則であって、二つを同じ形式(相対論的形式)で表現することで一つにまとめようと考えていたのである。

 しかしこうして運動量だけで説明がつくことになってしまったので私の中ではエネルギーの概念はもはやたいした意味を持っていない。もはや計算上便利であるとの利点を除いてエネルギーという概念を持ち出す必要はないのである。

 「エネルギーは質量と等価である」という相対論の結果から、エネルギーは何らかの「実在」としてもっと深い意味を持つのではないかと気にしていたが、この心配ももはや消えてしまっている。「エネルギー」という言葉を使わなくても相対論を解釈できることに気付いたからである。これについてはこれから相対論のページで論ずることにする。

 ここまでやったからには量子力学も同様に「エネルギー」抜きで論じたいところである。それは一体どんな形式になるのだろうか?しかし、あの体系でそれが出来るかどうか、それは今後の課題である。


相対論予告編

 相対性理論は電磁気学と力学の統一理論である。これによって、なぜ質量をもたない光でさえ運動量を持つのかを説明することが出来る。これについては相対性理論のページで論じることになるだろう。質量をもつ物質と、質量をもたない光をまとめて考えることが出来るのがこの相対性理論なのだ。

 では、相対性理論の部屋でまた会おう。その前に電磁気学も勉強しておいた方がいいかも知れない。相対性理論は電磁気学の結果から必然的に導かれる結果なのである。しかし、電磁気学の解説は後回しにさせていただく。そんなに理解しがたい分野ではないので、わざわざ私が急いで記事を書くこともないと思う。