目標と方針

大学では流体力学の授業がなかったので完全に独学である。

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以前にあった事件について

 かなり以前から「流体力学」のページを作ろうと考えていたし、ロゴも既に作ってあった。流体力学について説明してみたいという気持ちの盛り上がりは何度もやってきたが、他のことで心が埋め尽くされてしまって、延期に延期を繰り返してきた。

 一番最初に「流体力学の解説を書かねば!」という強い使命感に囚われたのは、「飛行機が飛ぶ理由は未だに分かっていない」というデマによって世間が大騒ぎしたときだ。

  その騒ぎのきっかけは2006年に出た『99.9%は仮説』という本だからもう 10 年以上も前のことである。いや、この本が出るずっと前にネットで大騒ぎになったような気もするなぁ。海外で誰かがベルヌーイの定理による揚力の説明に異を唱えたのだった。それが話題になってインタビュー記事が書かれ、それが日本語に訳されたりして、まだ黎明期のネット上で話題になったのだ。調べてみたら発端はどうやら『Understanding Flight』という本らしい。いや、記憶があいまいだ。全くの非専門家がこの件で疑問を持って海外のホームページで大騒ぎしていた気もする。

 それについて私もサイトのどこかに何か書いた気がすると思って調べてみたら私自身の当時の日記に記されていた。2006年10月31日と11月2日にその記述がある。リンクしてあるサイトは既に存在していないが、当時の雰囲気がよく分かる。意外なところで役に立つものだ。日記には次のように書かれている。一部抜粋しよう。
『ちょっと待てよ。5年前のあれのことだろ? これをトンデモ扱いすべきではないのではないか。 この件について徹底的に検証した上で、誰にでも分かるように説明する記事にチャレンジしてみたいと思った。』
 2006年の5年前ということは、最初の騒ぎは2001年なのだろう。記憶と合致する。

 実はこのとき(2006年頃)に、私も急いでその話題で記事を用意したのだが、この議論があまりにヒートアップしていたため、炎上を恐れて、興味のある一部の人にチラ見せする程度にしていたのだった。なぜ炎上を恐れていたかについては先ほどの日記にも書かれている。
『私が2001年5月頃の記事中で「ヘリコプターは空気を押す反作用で飛んでいる」と書いたことで、 多数の航空関係者からひどく叩かれたことがあるので、 私はこの問題には少々神経質になっているのである。』
 流体力学というのはニュートン力学の応用なので、もちろん作用反作用の法則、つまり運動量保存則を満たすのだが、流体力学の専門家の中にはそれさえも否定する人が現れて激しく怒って他を叩いていたので、私は目立つところでの議論を避けていたのである。

 ちょっと検索してもらうと当時の議論の跡がまだあちこちのブログに残っているのが分かるが、素人が集まって「作用反作用派」「ベルヌーイ派」「翼の周りの循環派」などに分かれて不毛な議論が繰り返されていた。まぁ、今さら蒸し返す必要もあるまい。これからの解説の途中で必要が出てきたらそこでさらっと触れよう。


動機

 今回やっと流体力学のページを作ろうと思ったのは、上に書いたような議論とは無関係である。もう話題が古すぎてそんな話を知らない若い人も増えてきている。つまり、もうそんなセンセーショナルな話題に絡めずに真面目に淡々と説明した方がいいのである。

 今回の動機は割りと不純であって、物理学の主要分野をコンプリートすることにある。長年の目標であった素粒子論のページも既に用意してあり、それを充実させるにはまだ先は長いが、とりあえず、あと流体力学さえあれば一通りが揃うというところにまで来た。

 素粒子論が難しすぎて疲れてきたので、息抜きに別のことをしてみたくなったというのもある。

 消費税の増税と新型コロナウイルスによるダブルパンチの大不況も影響している。読者層が極めて狭い素粒子論の記事よりも、流体力学の方が新しい読者層を開拓できるかもしれない気がしてきたのだ。物理学科では流体力学をあまり詳しく学ばないところが多いが、高専や工学部などでは必須の科目となっているところが多いようである。

 そんなときにちょうど流体力学が分からないという叫びを耳にしたので、思い切って飛び込むことにした。


方針

 しかしまぁ、流体力学というのは難しいのである。今まで私が取り組んできたどの科目よりも難しいのではないかという気がしてくる。

 私は流体力学の全体像がどうなっているのか、まだほとんど把握できていない。大学では流体力学の授業がなかった。他の分野の授業の中で、必要最小限の説明なら聞いたことがあるかもしれないという程度である。

 教科書を手に入れて開いてみると、まぁ、最初から面倒な数式だらけで、難しい。申し訳ないが少しも面白くない。これでは学生さんたちも苦しむわけだ。

 流体力学自体は面白いに違いないと確信している。どう説明したら面白くなるだろうか?

 自分が分からなかったこと、調べるのに時間がかかったようなことを、勢いよく説明していくしかないだろう。それだけでいいのかもしれない。全体を把握してから記事を書こうとするとまたやる気がなくなってしまうだろうから、もう手探りで始めて行こう。