目標と方針

<要約>核心だけ説明して、さっと終わらせたい。

[前の記事へ]  [
統計力学の目次へ]  [次の記事へ]


統計力学とは何か

 「統計力学」。何だかかっこいい響きだ。しかし、一体それが何なのか、イメージが湧かない。「確率・統計」の話と「力学」がどこで繋がるのだろうか?

 まぁ簡単に言えば、この分野は「気体の分子運動論」から始まる。それぞれの分子の運動はデタラメに見えるが、数多くの分子の動きについて統計をとってやると、全体ではある規則に従っていることが見えてくる。そして身の回りにある色々な現象に現れているのは、ほとんどがこの「全体としての性質」なのだ。

 我々は個々の分子の運動について考えようとしても考え切れないし、計算などとても出来るものではないわけだが、細かい部分には目をつぶって、全体としての性質さえ導き出せればそれで十分だと考えるのである。

 私は統計力学を学び始めた時、確率的な考えに頼るなんて何だか曖昧でいい加減な学問だなぁと頼りなく思ったものだ。また、それは諦めとか妥協の産物じゃないのかと見下す気持ちさえ感じていた。しかし考えてみれば、わざわざ分子の一つ一つの動きを厳密に計算して全ての分子の位置と速度を正確に追跡できたところで、その膨大な計算結果の大部分は無駄な情報でしかない。

 もちろん、全てを予言できるようになることは人類の夢であり、そんな計算が可能になれば今よりもっとすごいことが出来るようになるだろう。(動く分子でビリヤード!?)それでも山のような情報の中から大切な部分だけを抽出する技術というのはもっと重要になるに違いない。「情報の抽出技術」!統計力学というのはそういう目的、方向性を持った学問であり、全てを知ることを諦めてしまった人類の無力さの現れなどでは決してない。むしろ叡智の結晶と見るべきである。


毎度の身の上ばなし

 統計力学は割と得意な科目だった。計算の方法が理解できてしまったので好きになれた。そして後は手続きに従って多くの例題について計算をすればいいだけだった。

 しかしそういう計算ができる理由についての理解は浅かった。学問の全体像もつかめていなかった。そして今では計算方法さえ忘れてしまっており、結局、過去の栄光の記憶以外ほとんど何も残っていないという有様だ。

 当時は熱力学についても理解していなかったので、熱力学との接点もあまり意識しないで何とか切り抜けてきただけだということになる。また「量子力学との相性がいい」と言った先生の言葉も表面上の理解にとどまっている。


見通し

 私が得意になってやっていた計算の意味は何だったのか。その根本の部分を調べて行きたい。興味深い例題は沢山あるが、今のところ、それらに全く触れないで話を進められるものなら出来るだけそうしたいと考えている。

 根本部分さえ素早く理解できてしまえば後は楽しく計算するだけだから、わざわざ私が興味をそそる話をする必要はないだろうと思う。とにかく最短コースを取りたいのだ。やってみないと分からない。

 ちょっと久しぶりに教科書を手にして考えてみたが、統計力学らしくなる前の「気体の分子運動論」を説明する部分だけでもかなり面倒になるような気がしている。しかしそこが難関であって、それを乗り越えればすぐにでも終われるのではないかという楽観的な見方もしている。

 考えが甘いだけかもしれない。とにかく今のところいい加減にしか全体像がつかめておらず、そういう印象を持っている。後で考え方がどう変わるか楽しみである。